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【ご紹介】小児の軽度~中等度の感音性難聴における脳の機能的変化

小児の軽度から中等度の感音性難聴についての記事がMedical Tribuneに掲載されていましたのでご紹介します。


小児の難聴は脳の中枢聴覚システム機能の変化につながることが知られているが、軽度から中等度の聴覚障害については、これまであまり研究が行われてこなかった。昨年10月にロンドン大学のCalcus氏らが発表した研究によると、軽度から中等度の聴覚障害でも脳に同様の変化がおこる可能性があることが分かった(Calcus A, Tuomainen O, Campos A, Rosen S, Halliday L.F (2019). Functional brain alterations following mild-to-moderate sensorineural hearing loss in children. Elife, 2019; 8: e46965)。

Calcus氏らは軽度から中等度の聴覚障害と診断された小児46例を年少群(8~12歳)23例と年長群(12歳~16歳)23例の2つに分け、聴覚時の脳波を測定した。

その結果、年少群では正常な聴覚をもつ子どもと同等の年齢相応の聴覚ミスマッチ陰性電位を示した一方、年長群では年齢相応の聴覚ミスマッチ陰性電位は示されなかった。さらに年少群のうち、13例を6年後(14~17歳)に再調査すると、最初の調査で確認された聴覚ミスマッチ陰性電位は、成長とともに消失または減弱していた。これにより、聴覚障害児は成長に伴い脳の反応も変化することが確認された。

研究に携わったHalliday氏は「聴覚に障害のある子どもは、そうでない子どもに比べて言葉の発達や学力の面で劣る場合がある。より早期に軽度の聴覚障害を発見できれば、より早期から脳の変化を制限するための介入を行うことができ、正常な言語発達の可能性を高められるかもしれない」と述べている。

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