ロジャーの技術をあらゆる人へ – ロジャー ネックループ
雑音下でも、離れた場所でも、より良い聞き取りをすべてのユーザーへ提供したいと思いませんか?
フォナックの補聴援助システム「ロジャー」の製品群が、これまで以上に多くの補聴器でご利用いただけるようになりました。
ちょっと想像してみてください…騒がしいレストランで、あなたは長い間会うことができなかった友人たちと座っています。
飲み物が運ばれてきて、数席離れたところに座っている友人の一人が冗談を言い始めました。テーブルにいる全員がその笑い話を聞いています。あなたは話の冒頭では「面白いなぁ」と感じましたが、その後はその笑い話を断片的にしか聞き取れなかったのです。突然、みんなが笑っていましたが、あなただけがそのオチを理解できませんでした…。
雑音下での会話を理解することは、健聴者であっても難しいことです。難聴を抱えているユーザーにとって、雑音下での会話を理解することがどれほど困難かを自分の中で想像してみてください。先ほど例として挙げた、騒がしいレストランで話し手がテーブルの反対側にいる場合のような環境下においての聞き取りは、難聴者にとっては非常に難しいです。このように状況においては、補聴器だけでは十分に聞き取ることができません*1。
ユーザーへのアプローチ方法
雑音下での会話を理解するのが難しいと思われるユーザーには、「賑やかなレストランで笑い話のオチを聞き逃したくないですか?」と聞いてみるのが一つの方法です。もしその答えがYesなら、ロジャーの使用を検討してみることが良いかもしれません。
ロジャーは、騒音下での音声理解度を高めることを目的として設計されました。一対一の会話から、騒がしいレストランのように複数の人が会話をする大規模な会議やイベントまで、さまざまな用途に合わせて選べるロジャー マイクロホンは、教室から職場まで多様な場所で活用できます。
ロジャー ネックループは、Tコイルを搭載したほぼすべての補聴器で利用することができます。軽量で取り外し可能なネックループは2種類の長さがあり、8歳以上の子どもから大人まで、快適に使用することができます。
雑音下において会話の27%を理解した場合と81%を理解した場合の違い*2
ロジャー ネックループとロジャー マイクロホンのセットからなるロジャーシステムを使用することで、4分の1しか聞き取れなかった会話の内容が4分の3まで増加しました*2。
この結果は、60dBの背景騒音がある擬似的な会議の場を設定し、さまざまなブランドの補聴器を含む調査から得たものです。
研究によると被験者14名の平均理解度は、補聴器だけを使用した場合は27%、ロジャーを併用した場合は81%と示されました。
「なぜ聞き取れない方を選ぶのか?」
補聴器だけを使用した場合と、補聴器にロジャーを組み合わせて使用した場合の比較テストを行った後に被験者にどちらを好むかを尋ねました。
その結果、どのメーカーの補聴器を使用しているにも関わらず、100%の被験者が補聴器+ロジャーの組み合わせが良いと回答しました。
この結果について被験者の一人から、「当然ですね。逆になぜ聞き取れない方を選ぶのかが分かりません。」とコメントをいただきました。
プラスαの提案
もちろん、ロジャーはすべての人に適しているとは言い切れません。
ただ、大前提として、私たち聴覚専門家はメーカーを問わず全ての補聴器ユーザーにロジャーのような素晴らしい補聴機器が存在していることをユーザーへ説明すべきです。賑やかなレストランでも、友人の話のオチで笑える、その選択肢を提供すべきだと思いませんか?
この研究の詳細については、最近のField Study Newsの “Speech improvement using Roger NeckLoop with different brand of hearing aids“(英語)をお読みください。
また、フォナック ロジャーおよびロジャー ネックループの詳細についてはフォナックの専門家のかた向けホームページphonakpro.comでご覧ください。
著者:Anna Karlsson Lejon
Annaは、2002年にスウェーデンにあるルンド大学で聴覚学の修士号を取得しました。聴覚診断と聴覚リハビリテーション、そして成人向け補聴器フィッティングの経験を持っています。2014年からは、スウェーデンのハルムスタッドにあるRoger Work-lifeのチームで、オーディオロジーおよびバリデーションマネージャーを務めています。
この記事は、2021年3月30日にPhonak Audiology Blogに掲載された記事を翻訳したものです。
◆関連記事◆
次世代Tコイル型ロジャー受信機「ロジャー ネックループ」新発売!
「ロジャー ネックループ」の音声文字化アプリの使用方法
参考文献
- Thibodeau, L. (2014).Comparison of speech recognition with adaptive digital and FM wireless technology by listeners who use hearing aids. American Journal of Audiology, 23(2), 201-210.
- Lejon, K. A. and Smith, C. (2021) Speech improvement using Roger NeckLoop with different brands of hearing aids. Phonak Field Study News. Retrieved from: www.phonakpro.com/evidence. Accessed March 26, 2021.