数々の賞に輝いた「ロジャー オン」。その理由とは?【オーディオロジーブログ】
ユーザーの声に耳を傾けた結果、私たちはTIME誌の選ぶ「THE BEST OF INVENTIONS OF 2021」の一つに選ばれる製品を生み出すことができました。
昨年はロジャーにとって重要な一年でした。
先日発売されたロジャー オンは聴覚関連の市場でいくつもの賞に輝きました。ドイツ・イノベーション・アワード、そしてiFデザイン賞とレッドドット・デザイン賞の2つのデザイン賞を受賞し、米国のTIME誌が選ぶ” THE BEST INVENTIONS OF 2021”(2021年の優れた発明品ベスト100)の1つに選ばれました。
ユーザーのニーズと革新的な製品開発の両方を叶え、栄えある賞に選ばれたこのワイヤレスマイクはどのようにして生まれたのでしょうか?それは私たちが、ユーザーが何を求めているのか、その声に耳を傾けたその瞬間から始まりました。
2013年に発売されたロジャー ペン、その後継となる製品の新しいデザインを私たちが初めて検討したとき、「ロジャー ペン」はシンプルに「ロジャー ペンシル」に進化するだろうと考えました。スリムな鉛筆のようなワイヤレスマイク – それがエンドユーザーが望む製品だというのが、私たちが最初の話し合いで出した答えでした。
でもそれは私たちの誤解でした。
なぜロジャー ペンシルではダメだったのか?
ユーザーに対して行ったアンケートの結果から、私たちはいくつかの誤解に気づくことができました。鉛筆の形をしたワイヤレスマイクは「目立たない」という回答を得ましたが、同時にユーザーは次のようないくつかの欠点も指摘してくれました。
- その形状では使いにくそう
- それがただの鉛筆に見えるので、知らない人がマイクをおもちゃにしてしまうかも
- 他の鉛筆に紛れて、カバンの中から見つけにくくなりそう
そこで、私たちはユーザーに何が重要であるかを尋ねました。その結果、新しい製品設計に望むのは次のようなことだという回答がありました。
- テーブルの上で平らに安定して置けること
- 適度な長さがあって滑りにくく持ちやすいこと
- コンパクトでかつ身に着けるのに便利なクリップがあること
- 他の日用品に紛れないよう一目で区別できるスッキリとした個性的なデザインであること
- 直感的に操作ができることと状態が一目で分かるディスプレイがあること
これらを元に、最終的なデザインは細く平らに延ばした形となり、また 操作しやすい中央のボタン、ディスプレイ、テーブルに置いたときの安定性、話し手がマイクを身につけるためのクリップが設けられました。
ロジャー オンのユーザーメリットとは?
調査によれば、補聴器ユーザーの30%が騒音や離れた場所での聞き取りに苦労しており*1、ワイヤレスマイクは困難な聴取環境でことばの理解の向上に役立ちます*2。
そして、私たちの日常生活には多くの困難な聴取環境があります。たとえばレストラン、パーティー会場、講演会、エクササイズに参加する、ドライブ中に後部座席の人と会話する、そしてテレビを観るのもそうです。ロジャー オンは、これらすべての状況で役立ちます。
スマートなデザインが実現する4通りの活用シーン
内蔵された加速度センサーによって、ロジャー オンは自身の置かれている状況を認識し、最適なマイクロホンモードに自動で切り替わります。また、ディスプレイにはロジャー オンの状態がユーザーに分かりやすいアイコンで表示されます。イラストでさまざまな使用例をご紹介します。
ロジャーの活用シーン:
アプリで自由自在にカスタマイズ
この 新製品が高い評価を受けていることを本当に嬉しく思っていますが、実はまだまだお伝えしたいことがあります。マイロジャーマイク アプリを使用すれば、ユーザーがロジャーオンをさらに使いやすく設定したり、手の届かないとこにあるロジャー オンのマイクロホンモードをアプリで変更したりできるのです。
マイロジャーマイク アプリをお手持ちのスマートフォンにダウンロードすれば、ユーザーそれぞれの環境や好みに基づいた設定を行うことができます。アプリでは次のようなことができます。
- 卓上モードの時に話し手の方向に合わせてマイクロホンの指向性を選ぶ
- マイクロホンモードを変更する
- ミュートおよびミュート解除
- 電池残量やマイクロホンモードなどの状態確認
ユーザーに伝えたい4つのメリット
デザインだけではなく、職場や学校、また友人との会話をよりスムーズにしたいユーザーにとって魅力的な数々の特長があります。
- ロジャー オンは全自動なので卓上に置いても、クリップで胸元に挟んでも、手に持っていても、適切なマイクロホンモードに自動で切り替わります。
- インタビューモードでは、縦に並んだ3つのマイクを使用することで、複数人との騒音下での会話でも聞きたい相手の声をピンポイントで拾うことができます。
- ロジャー オンはIP54の防塵防水保護等級を取得しており、日常的な範囲であれば少々の水しぶきも平気です。
- 別の近距離対応ロジャーマイクロホンと接続して、マルチトーカーネットワークを作成できます。人数の多い会議などで特に役立ちます。
ロジャー オンをはじめ高性能なロジャーマイクロホンの製品群をぜひこちらよりご覧ください。
この記事は、2022年4月12日にPhonak Audiology Blogに掲載された記事を翻訳したものです。
著者:Benjamin Heldner(フォナックコミュニケーション AG シニアプロダクトマネージャー)
ベンは2005年8月にエンジニアとしてフォナックに入社し、2012年に製品管理に異動しました。現在、シニアプロダクトマネージャーとしてエンジニアと綿密に協力して、補聴機器および人工内耳装用者のニーズを満たすべくロジャー製品の開発に携わり、困難な聴取環境でもより良いコミュニケーションを実現します。ベンは重度の難聴を抱えており、右耳に補聴器(フォナック ナイーダ パラダイス)、左耳に人工内耳を装用しています。彼は日常的にロジャーを使用しているユーザーでもあります。
参考文献
- Abrams, H. B., & Kihm, J. (2015). An Introduction to MarkeTrak IX: A New Baseline for the Hearing Aid Market. Hearing Review, 22(6), 16.
- Thibodeau, L. (2014). Comparison of speech recognition with adaptive digital and FM wireless technology by listeners who use hearing aids. American Journal of Audiology, 23(2), 201-210.