Phonak独自のカスタムベント(AOV)について―その2
2012年7月4日
AOV=Acoustically Optimized Vent
<音響的に最適化されたベント>
前回は、閉塞感についてまたAOV開発の経緯をご紹介しました。
さて、今回はベント効果について少しご紹介します。
音響的にみたベントの「長所」と「短所」:
○ 増幅や骨導音を、外耳道内の残りの空間から漏らす効果
・ 長所:オクル―ジョン効果の回避
・ 短所:ハウリングの増大
・ 低音域での挿入利得の減少
○ 外耳道内の残りの空間に音信号が直接入る効果
・ 長所:低音域での自然音(直接音)が得られる
・ 短所:補聴器の機能効果が薄れる
○ 音響効果以外の要素
・ 長所:外耳道内の換気
・ 短所:補聴器サイズが大きくなる
ベント効果は、補聴器にとってとても大きな要因がありますが適切なベントサイズを選択することは、内外経験と補聴器の豊富な知識を持っても難しいと言われています。
そこで、ベント内の質量にフォナックでは注目しました。
音響質量が大きい → 高い音、低い音が共に通りにくい(ベント効果小)
音響質量が小さい → 低い音が通りやすく、高い音も少々通る(ベント効果大)
フォナックは、ベントサイズを音響質量で算出します。この質量は、断面積およびシェルに設けられたベント各部の長さを合算したものとなります。
このような計測値をすべて入力した際、デジタル制御によって複合ベントを作成することが出来ます。
これが、AOVの基本的考え方になります。
AOVの利点についてはまたの機会にご紹介いたします。