聞こえのブログのロゴ

Phonak 独自のカスタムベント(AOV)について―その1

AOVとは、Phonak独自のデジタルシェル技術を活用したベントシステムです。

最新のデジタル製造ソフトウエアのおかげで、円形の標準的なベントだけではなく、
考えられる範囲のあらゆる形や外観のベントが可能になりました。

モデリングの際、ベント作成を最適に行うためにシェルのあらゆる部分が
利用されます。
直径だけではなく、ベントの長さ、ベントの形状や軽量化も音響性能に影響します。

この分野で、デジタル製造技術が威力を発揮します。

現在、さまざまな直径のベントが使用されており、これによってシェル内のスペースを他の部品により多く使用できるようになりました。

Phonakの開発した独自のアルゴリズムによって、 AOVでは、オージオグラム、シェルサイズ、選択した補聴器の機能などに基づき、個人個人に最適に適合させたベントを設計します。

【 開発意図 】
オクルージョン(閉塞感・こもり感・自声の響き)は、補聴器装用者にとって、補聴器を使用する際の重大な障壁です。

オクル―ジョンは、主に低音域で中等度程度の難聴をもつエンドユーザーに、最も大きく影響すると言われています。

この音域以外の他のレベルでは、平均でおよそ20dB発生します。40 dB HLを超える難聴の場合はほとんど大きな利得が必要ですが、それが達成されれば、オクルージョンは不快なものとして認識されなくなります。

(例:「半分の利得ハーフゲイン」というルール: 40 dB HL -> 20dB利得)

オクル―ジョンの正体とは?

● オクルージョンが発生するのは、補聴器のシェルあるいはイヤモールドによって、外耳道を閉塞している場合。※1

● 自分の声の骨導音の振動が、イヤモールド/ITEシェルの先端と鼓膜の間の空間で、こもってしまう現象。

● オクルージョンが認識されるのは、補聴器装用者自身の声あるいは噛む動作などが骨伝導によって伝送されることにより、外耳道内で生成される低音域の音圧が高まるため。※2,3

● 低音域で利得が大き過ぎること、あるいは高音域の利得が少な過ぎることでも、オクルージョンとして認識される場合がしばしば生ずる。※4

※1 Ross M.: The “Occlusion Effect” – What it is, and What to Do About it. Hear Loss Jan/Feb2004
※2 Stender T, Appleby R.: Occlusion effect measures. Hear Jour 07/2009;62(7):21-25

※3 Revit LJ: Two techniques for dealing with the occlusion effect. Hear Instr 1992;43(12):16-19.
※4 Kuk, Francis et al. (2002). “Ampclusion” Management 101: Die Variablen verstehen. Hearing Review, August 2002.

具体的にAOVについての説明は、またの機会にお話したいと思います。

カテゴリ別メニュー
聞こえに関する情報をお届けします