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サウンドフィールドをあらゆる教室にお勧めする3つの理由【オーディオロジーブログ】

新発売のロジャー デジマスター V2の新機能をご紹介するにあたり、サウンドフィールドシステム(教室内スピーカーを用いた音環境改善システム, 以下”サウンドフィールド”)によって難聴児だけでなくクラスの全員が学習面での恩恵をどのように受けるのかご紹介します。

子どもはみな、学習環境において良好な聴取環境 (SN比)を確保することが必要です。騒がしい教室で話し手のことばを理解するには、ことばが雑音よりも大きくなくてはいけません

難聴児は自分の耳に直接届く聴覚補償技術(ロジャー タッチスクリーンマイクなど)を使用して教室での会話を聞きとることができますが、先生と生徒にとって、それだけで本当に十分なのでしょうか?

ある調査によると、クラス全体に音を届けるためにワイヤレスマイクとスピーカーで構成された、いわゆるサウンドフィールドは、難聴の有無に関わらず子どもと先生の両方にメリットがあります1-6

教室にサウンドフィールドを導入する3つの理由

1. クラスの全員が先生の話をもっと聞きやすくなる

サウンドフィールドを導入することで、教室にいるすべての聞き手にとってSN比改善をもたらし、生徒全員が先生の話をより明瞭に聞くことができるようになります。

サウンドフィールドを導入すると、健聴児における騒音下でのことばの聞き取りが大幅に改善されます。サウンドフィールドのない環境とある環境を比較すると、騒音レベルが65 dBAのときに最大 28%、70 dBAのときは最大50%も改善がみられます

正答率(%) ■サウンドフィールドあり

■サウンドフィールドなし

騒音レベル (dBA)
健聴児を対象にサウンドフィールドの有無で比較した、静寂下および各騒音レベルにおける聞き取りテスト結果の平均。

このグラフは、サウンドフィールドの有無でことばの聞き取りにどのような差が出るかを示したグラフです。横軸には静かな環境および呈示された騒音レベルを記し、縦軸は聞き取り検査の結果の平均を灰色と緑の棒グラフ(それぞれサウンドフィールドなし/あり)で示しています。横軸の65、70および75 dBAにある2つの棒グラフの差から、騒音レベルが65dBA以上のときに音声認識の結果が著しく改善したことがわかります。ロジャーのサウンドフィールドを導入することで、クラスの生徒全員が聞き取り改善による恩恵を受けるだけでなく、さらにロジャー パスアラウンドマイクを積極的につかうことで同級生の発表の声も聞きやすくなります。

カナダのノヴァスコシア州で行われた研究で、サウンドフィールドがクラスの生徒の能力に及ぼす影響が調査されました。サウンドフィールドは教室のSN比を効果的に改善し、子どもたちがちゃんと意識して先生の話をよく聞き、理解するのに役立つことが明らかになりました

他の研究でも、サウンドフィールド製品を導入した教室では生徒の読解力と国語の成績が向上することが報告されています

子どもたちはまだ成長過程の半ばであり、社会生活や自尊心と一緒に、注意力や集中力、リスニング、学習、識字の能力を身につけている真っ最中ですから、これは無視できないポイントです。

2. 先生が無理に大声を出す必要がない

先生は教室の騒音よりも約15 dB大きい声で話す必要がありますが、実際の学校で、一日を通してこれが達成されることはまずありません

とはいえ、これを徹底するというのは土台無理な話です。

教室の騒音レベルは 35 dB(A)を超えないのが理想です。しかし実際、一般的な教室の騒音レベルは41~51 dB(A)に達します

つまり、先生は生徒に一日中56~61 dBの声を届ける必要があるという意味です。たまに数時間、騒がしい居酒屋で大声でおしゃべりするくらいなら良いですが、毎日、しかも一日中となればとても身が持ちません。

騒がしい教室では、先生が声を出し続けた結果、喉を痛めてしまう可能性があります。もし、喉の酷使が健康を悪化させてしまうと、休養を要する間別の先生を確保するための追加のコストが発生します。

ブラジルにおける調査では、ロジャーのサウンドフィールドをたった1校時使用するだけでも、喉の渇き、声の質、発声時の疲労および先生の教師の喉の緊張を十分改善できることが示されました。

3. 先生がワイヤレスマイクの挙動を把握できます

先生によっては、補聴機器を何ヶ月も使用したにも関わらず、いまだにちょっとしたことが生徒の聞き取りに影響することを知らない場合があります.。たとえば、教師のネームホルダーがタッチスクリーンマイクに当たって擦れたり​​、マイクが裏返っていると、生徒の気が散ったり不快な音が発生したりすることにもつながります。

サウンドフィールドがあれば、このシステムが実際にどう働いているのかをリアルタイムで知ることができます。実際の音を常に聞くことで、サウンドフィールドの働きが生徒にどのような影響を与えるのか、よりよく理解することができます。

ロジャーのサウンドフィールド – ロジャー デジマスターについて

このシステムは、送信機であるロジャー タッチスクリーンマイクと受信機/スピーカーであるロジャー デジマスター から構成されています。以下にその概要をご紹介します。

  • 通常首に掛けて使うロジャー タッチスクリーンマイクは、先生の声を教室に置かれたロジャー デジマスターに送信します。会話の理解を向上させるために、ロジャー タッチスクリーンマイクは周囲の騒音を継続的に監視して音量を自動的に最適化し、会話が常に騒音よりも大きく明瞭に保たれます
  • ロジャー デジマスター5000 は、縦に配置された12個のスピーカーによって直進方向の指向性を生み出します。これにより、他のスピーカーよりも反響が少なくなり、教室中に行き渡る理想的な音響空間と明瞭な聞こえを提供します。初期設定も非常に簡単です。コンセントを差し込み、そして電源をオンにするだけです。
  • ロジャー デジマスター7000 は同じく縦に並んだ15個のスピーカーを搭載し、より広い教室をカバーできます。2 台のデジマスター7000を接続すれば、デジマスター5000の2倍に相当する広さをカバーできます。

ロジャー デジマスター V2の4つの新機能

  1. ブルートゥース接続に対応:新たに搭載されたワイヤレス機能により、マルチメディア機器との同時接続がさらに容易になります。これにより、ロジャー タッチスクリーンマイクで先生の声を拾いながら、同時に音楽や他の機器(スマートフォンやタブレットなど)の音声も出力することができます。
  2. 音質が向上したスピーカー:新スピーカーユニットにより、以前の器種よりもさらに低音が出力可能となり音質が向上しました。
  3. 外部出力端子:外部出力端子にレコーダーを接続することが可能になりました。例えば学校を休んだ生徒、会議に出られなかったスタッフ、もしくは検証やテストのために録音することが可能となります。
  4. USB-C端子の採用:ファームウェアが更新可能になったときは、いつでもUSBケーブルを用いて簡単に行えます。

先生と生徒にとって、これらはどんな意味があるのでしょうか?サウンドフィールドは教室内の聞き取りと学びに相応しい音響環境を提供することで、生徒一人ひとりをより充実した学習へ導く可能性を秘めています。SN比の改善は、大きな声を出すことを強いられていた先生の声帯を守ることにもつながるため、先生にも恩恵をもたらします。

以下のリンク(英語)から、さらに詳しい資料を参照することができます。

もし、少しでもサウンドフィールドの導入に興味や関心がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

担当者からご連絡を差し上げます。


この記事は、2022年10月11日にPhonak Audiology Blogに掲載された記事を翻訳したものです。

参考文献
  1. Bennett-Long, A. (2001). The effects of soundfield amplification on reading achievement. Valdosta State University. Retrieved from http://citeseerx.ist.psu.edu, accessed July, 28, 2022.
  2. Cruz, A. D. da, Silvério, K. C. A., Ribeiro, V. V. & Jacob, R. T. de S. (2016). Dynamic soundfield system impact on the teacher’s voice: case report. Revista CEFAC, 18(5), 1260–1270.
  3. Wolfe, J., Morais, M., Neumann, S., Schafer, E., Mülder, H., Wells., N., John, A. & Hudson, M. (2013). Evaluation of Speech Recognition with Personal FM and Classroom Audio Distribution Systems. Journal of Educational Audiology, 19, 65-79.
  4. Boothroyd A (1997). Auditory development of the hearing child. Scandinavian Audiology, Supplemental, 46, 9-16.
  5. Langlan, L.A., Ravichandran, S., Caissie, R., Kreisman, B.M. (2009). The benefit of soundfield amplification in First Nations elementary school children in Nova Scotia, Canada. The Australian and New Zealand Journal of Audiology, 31(2), 55–71.
  6. Neuman, A.C., Wroblewski, M., Hajicek, J., & Rubinstein, A. (2010). Combined effects of noise and reverberation on speech recognition performance of normal hearing children and adults. Ear & Hearing, 31(3), 336–344.

著者:Whitney Spagnola(フォナックUS Senior Marketing Manager)

Whitneyは、日中はフォナックのマーケティング部で勤務しており、夜は家族や友人と交わっています。彼女は難聴者の悩み事を非常によく理解しています。彼女自身、耳鳴りと軽~中等度の難聴を抱えており、彼女の二人の子供も難聴者です。彼女自身が難聴者であることは、自分の子どもたちにとっての代弁者になり得ることを意味し、誇りに思っています。彼女の補聴器のお気に入りのポイントは「騒がしい場所でも人々との会話を楽しめるところ!」です。そして彼女が好きな音は「人々が笑う声」です。

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