指向性および騒音抑制機能が解決する実生活での3つの問題【オーディオロジーブログ】
騒がしい環境でのことばに対する理解は、難聴者のニーズの上位にランクされています。この記事では、オーデオ ルミティを含むフォナックの補聴器に搭載されている指向性と騒音抑制機能がどのように役立つかをご紹介します。
騒音下の一対一の会話およびグループでの会話の理解が、補聴器ユーザーにとって「最も」重要な聞き取り状況の上位にランクインされていることをご存知でしょうか1。
これは非常に重要な発見です。その理由は、騒音下の聞き取りにくさが難聴の一般的な症状であるからです2。皆さんも、多くのユーザーが騒音下の会話を聞き取るのに苦労していることに同意するでしょう。
では、ユーザーが騒音下の一対一およびグループでの会話を楽しめるようにするには、どのような騒音に関する対策を取り組めばよいのでしょうか。
騒音下の会話について、ことばの理解と、フォナックの指向性および騒音抑制機能の間に関連性があります。
フォナックの指向性および騒音抑制機能がもたらす3つのメリット
1. 騒音下での会話理解度の向上
スポーツ観戦で隣に座っている友人と話しているときなど、前方、側方、もしくは後方から聞こえてくる音声に、指向性と騒音抑制機能が役立ちます。
2. 騒音下での聴取努力の軽減
空間騒音抑制システムであるダイナミックノイズキャンセルは、指向性マイクと組み合わせて使用することで、騒音下での聴取努力を軽減することが可能です。
3. 環境・空間に対する意識の向上
指向性と騒音抑制機能を使用すると、騒音下においても左右両側の空間認識力が向上します。
最初に導入された指向性マイクロホンシステムは固定式でした。そして長年にわたる技術の革新により適応型指向性マイクロホンやマルチチャンネル指向性マイクロホンなどが開発されました。
また、ワイヤレス伝送技術の革新により、左右2台の補聴器に搭載されている計4つのマイクロホンをリンクすることができ、いわゆる両耳間音声通信技術を実現しました。
この適応型指向性は効果的で、低~中レベルの騒音環境において会話の理解度を向上させることができます6。騒音が多い環境では、補聴援助システム ロジャーのようなリモートマイクロホンを使用すると、さらなる効果が期待できます。
フォナックの指向性および騒音抑制機能の特徴
● スピーチセンサー
スピーチセンサーは音声の方向を正確に検出し、騒がしい環境下で隣や後ろからの会話をより理解しやすくする自動的な機能です。隣や後ろから話しかけられた場合、スピーチセンサーにより、会話の理解度が15%向上されるという研究結果があります3。
● ステレオズーム 2.0
騒音環境や空間認識にフォーカスして聞き取りを向上する機能です。これはフォナック オーデオ ルミティに搭載されている両耳装用で機能する狭い指向性マイクモードです。研究によると、固定型指向性よりも、ステレオズーム 2.0を使用したほうが正面からの会話の理解度が16%向上することが示されました3。
● モーションセンサーヒアリング(以下、MSH)
これは人の動きを検知する3Dモーションセンサーを用いて、移動中の聞き取りが厳しい環境下(騒音など)での会話理解をサポートする機能です。ある研究では、人通りの多い道路に沿って会話の相手と一緒に散歩した場合の聞き取り状況を、MSHありとなしで比較しました4。その結果、被験者の73%が会話の理解、78%が環境の認識、71%が全体的な聞き取り体験においてMSHありを好むことがわかりました。
● ダイナミックノイズキャンセル
この空間騒音抑制システムは指向性マイクロホンと組み合わせて機能するものです。この機能を使用すると、騒音下での聴取努力が軽減されることが分かっています5。
このような指向性および騒音抑制機能が搭載されているオーデオ ルミティについて、さらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
参考文献
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Appleton-Huber, J. (2022). Better listening in noise looms large for satisfying hearing aid users–especially older clients. Hearing Review. 29(6):10-16.
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(2018). Symptoms: Hearing loss. Retrieved from https://www.nhs.uk/conditions/hearing-loss/symptoms/, accessed November 28, 2022.
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Woodward, J. & Latzel, M. (2022). New implementation of directional beamforming configurations show improved speech understanding and reduced listening effort. Phonak Field Study News in preparation. Expected end of 2022.
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Appleton, J., & Voss S.C., (2020). Motion-based beamformer steering leads to better speech understanding and overall listening experience. Phonak Field Study News. Retrieved from ww.phonakpro.com/evidence, accessed November 28, 2022.
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Appleton, J. (2020). AutoSense OS 4.0 – significantly less listening effort and preferred for speech intelligibility. Phonak Field Study News. Retrieved from www.phonakpro.com/evidence, accessed November 28, 2022.
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Souza, P. (2021). 2 ways severe-to-profound hearing loss is just…different. Phonak Audiology Blog. Retrieved from https://audiologyblog.phonakpro.com/2-ways-severe-to-profound-hearing-loss-is-just-different/, accessed November 28, 2022.
この記事は、2022年12月1日にPhonak Audiology Blogに掲載された記事を翻訳したものです。
著者:Jennifer Appleton-Huber(フォナック スイス本社 フォナック本社 テクニカルエディトリアル マネージャー)
Jenniferは2013年にフォナック本社に入社しました。それ以前は、主にイギリスとスイスで聴覚科学者として成人および小児(補聴器や人工内耳の分野)の臨床に携わっていました。マンチェスター大学にて聴覚学の修士号を取得しました。