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良い健康の一部に、良い聞こえが含まれるべきではないでしょうか?【オーディオロジーブログ】

聴覚リハビリテーションの真の意味について話し始める時代が来ています。

「特定の製品が好き、他の製品には無関心」、その理由を考えたことはありますか? 一研究者でオーディオロジストの私にとして、このような疑問は聴覚医療にとって非常に興味深いものです。

数十年にわたる研究の結果によると、人は自分に共感を覚える企業や製品を好む傾向があります。 例えば、健康志向の人であれば、健康なライフスタイルを促進するブランドや広告を好む可能性が高いです。 また、健康に関する商品やサービスに気付く可能性も高まります。

特定の製品を購入または好むことは、あなた自身がどんな人間であるかの一部を表すことがあります1。 そして残念なことに、補聴機器について苦悩を抱えている人がまだまだ多いようです。

補聴機器は単に音を大きくするだけではない

聴覚は、耳だけと関連しているわけではありません。耳で捉えられた音は、蝸牛を経由して電気信号に変換され、脳に伝えられます。脳は音を解読して解釈します。つまり、聴覚はこのような複雑なプロセスに関わります。 聴覚(特に難聴の場合)のプロセスが極めて複雑にもかかわらず、現代の補聴機器は非常に優れています。例えば補聴器の装用は、単に音をより聞き取りやすくするだけでなく、生活の質にポジティブな影響を与えることが先行研究から示されています2-3。 補聴機器とそれが健康なライフスタイルにどのようにフィットするかに関する研究はまだまだ続いていますが4、いくつかの有望な初期結果が出ています。

健康上の利点を理解しない原因とは?

オーディオロジストとして、「聴覚リハビリテーションに興味を持つ人=自分の健康に気を遣っている人」だと考えています。聴覚的健康だけでなく、もちろん全体の健康も非常に重要です。大切な人とのコミュニケーションを最適化し、その人とつながる能力は私たちのウェルビーイング(well-being)にとって不可欠なことです。残念ながら、補聴器が役立つ可能性がある多くの人々が、聞こえの問題に対してすぐに助けを求めないことがあります。聞こえにくいと思った時点から医師やオーディオロジストを訪れるまでには最大で10年かかることもあります5

認識が重要である

補聴器の使用を受け入れない難聴者は、聞こえの問題に苦労しているにもかかわらず、それに対して何かをする必要がないと感じる、または補聴器に対する偏見が行動を阻止していると指摘されています。

一方で補聴器使用者は、補聴器に対する満足度が高く、補聴器についてほとんど恥ずかしく思わないと報告しています6。つまり、補聴器使用者と非使用者の補聴器に対する認識は、大きな違いがあるようです。オーディオロジストとして、補聴器非使用者に補聴器を試聴してもらえるにはどうすればいいのでしょうか?

ここ数年の間に、補聴器は非常に進化しています。これまで以上に小型で、機能も優れており、より高度なテクノロジーが装備されています。また、補聴器に関するカウンセリングも、さまざまな形で提供されています。このデジタルな時代には、これまで以上に多くの解決策があります。

聴覚ケアに関連する利点、健康的なライフスタイルおよびデジタル テクノロジーに関心を持つ人がますます増えている中、補聴器の使用を検討し始める人も増えるでしょう。自分の聴力が変化しても、聴覚ケアが必要ないと感じる人が多いのはなぜでしょうか。


この記事は、2023年12月5日にPhonak Audiology Blogに掲載された記事を翻訳したものです。

参考文献
1. Reed II, A., Forehand, M. R., Puntoni, S., & Warlop, L. (2012). Identity-based consumer behavior. International Journal of Research in Marketing, 29(4), 310–321. https://doi.org/10.1016/j.ijresmar.2012.08.002
2. Kitterick, P. T., & Ferguson, M. A. (2018). Hearing aids and health-related quality of life in adults with hearing loss. Journal of the American Medical Association, 319(21), 2225–2226. https://doi.org/10.1001/jama.2018.5567
3. Laureyns, M., Best, L., Bisgaard, N., & Hougaard, S. (2015). Getting our numbers right on hearing loss, Hearing care and hearing aid use in Europe. Joint AEA, EFHOH, EHIMA report. Retrieved from https://www.ehima.com/wp-content/uploads/2016/09/Getting-our-numbers-right-on-Hearing-Loss-and-Hearing-Care-26_09_16.pdf
4. Vercammen, C., Bott, A., & Saunders, G. H. (2021). Hearing health in the broader context of healthy living and well-being: changing the narrative. International Journal of Audiology, 60(sup2), 1–3. https://doi.org/10.1080/14992027.2021.1905893
5. Davis, A., Smith, P., Ferguson, M., Stephens, D., & Gianopoulos, I. (2007). Acceptability, benefits and costs of early screening for hearing disability: a study of potential screening tests and models. Health Technology Assessment, 11(42). https://doi.org/10.3310/hta11420
6. Abrams, H. B., & Kihm, J. (2015). An Introduction to MarkeTrak IX: A New Baseline for the Hearing Aid Market. Hearing Review, 22(6), 16. Retrieved from https://www.hearingreview.com/2015/05/introduction-marketrak-ix-new-baseline-hearing-aid-market/ on November 20, 2023.

著者:Charlotte Vercammen (ソノヴァAGの研究員)

Charlotteは臨床的に訓練された言語病理学者およびオーディオロジストであり、ベルギーのルーヴェン大学で生物医学科学の博士号を取得しました。2018年にソノヴァに加わり、研究科学者およびフィッティングイノベーションの専門家として活動しています。加齢に伴う聴力低下、包括的な聴力ケア、聴覚スクリーニングおよび聴力ケアのためのビッグデータの応用分野に興味を持ち、研究を行っています。また、マンチェスター オーディオロジーと難聴研究センター(ManCAD)、マンチェスター大学の名誉講師でもあります。

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