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健康に年を重ねるために聴覚の健康推進をーフォナック流3つの方法【オーディオロジーブログ】

聴覚の健康ケアは健康な加齢と結びついています。この記事では、フォナックがどのように認知に関する画期的な研究をサポートしているか、また聴覚ケアにおけるウェルビーイング(well-being)に関するガイダンス・ツールをどのように提供しているかをご紹介いたします。

フォナックは長年にわたり、「Well-Hearing is Well-Being(ゆたかな聞こえ、しあわせな暮らし)」という考えに基づき、健康な加齢の促進を取り組んできました。以下3つの重要な取り組みをご紹介いたします。

  1. 聴覚と認知の関連性に関する研究に投資

フォナックは、聴覚ケアと健康な加齢を促進することを使命としています。フォナックの最新補聴器の寄贈と研究活動を通じて、難聴と認知の複雑な関係性を調査する画期的な研究をサポートしています。

最近に発表された2つの研究が、難聴と認知の複雑な関係性についての理解に大きく貢献しました。

 ● ACHIEVE研究(米国における難聴の高齢者の認知機能低下を軽減するための聴覚介入と健康指導)1

3年に渡って行われたACHIEVE研究では、認知機能低下のリスクが高い難聴の高齢者に聴覚ケアを提供することが、潜在的なメリットをもたらす可能性があるという画期的な結果が示されました。補聴器装用などの聴覚ケアを受けた研究参加者は、思考能力と記憶能力の低下が48%遅らせたことが研究で明らかになりました。

 ● ENHANCE研究(オーストラリアにおける難聴の高齢者の認知機能に関する3年間の追跡調査)2

ENHANCE研究は、補聴器装用などの聴覚ケアにより高齢者の難聴を改善することが、認知機能の低下を遅らせることができるかを調査しました。3年間の追跡調査の結果によると、補聴器装用者の認知機能は全体的に安定していることに対し、補聴器非装用者では認知機能の低下が見られたことが示されました3

2.聴覚専門家と協力してウェルビーイングのモデルを提供

2019年にフォナックは、聴覚の研究者および専門家とコラボレーションし、聴覚ケアが健康な生活に不可欠である理由に関するフォナック ポジションステートメント(英語)をリリースしました4

聴覚の研究者および専門家たちは、社会・感情的、認知的、身体的ウェルビーイングを「健康」の核心的な要素とみなし、臨床聴覚診療に合わせた実用モデルを提案しました。難聴とコミュニケーションに関する課題はこれらの要素に影響を与える可能性がありますが、新たなエビデンスによると、聴覚リハビリテーションは社会・感情的、認知的、身体的ウェルビーイングという3つの側面でメリットをもたらすことが示されています。

3.臨床に生かすプログラムを開発

聴覚専門家が研究を十分に理解し、顧客との話し合いに認知的健康に関するトピックを取り入れるのに役立つリソースを提供するため、フォナックはECHHO (Enhancing Cognitive Health via Hearing Optimization)プログラム*を開発しました。

*このプログラムはまだ日本に導入されておりません(2024年現時点)。

このプログラムには、以下の内容が含まれています:

  • 研究結果:難聴と認知機能の関係性に関する最新の研究およびその結果について紹介します。
  • 専門家のガイダンス:聴覚ケアを通じて認知的健康を促進する方法と、顧客との話し合いに認知的健康に関するトピックを取り入れるための戦略について説明します。
  • エビデンスに基づいた説明:聴覚臨床カウンセリングにおける認知の役割と、聴覚をケアしながら認知的健康の重要性を顧客に理解してもらうためにエビデンスに基づく説明の方法を紹介します。
ご存知ですか?

フォナックは、米国、カナダ、オランダの聴覚専門家203名を対象に調査を実施しました。

その結果、聴覚専門家の89%が、認知に関するトピックを「非常に重要」「極めて重要」と評価していることが分かりました。さらに、聴覚専門家の71%が、日常診療において認知に関するトピック言及していると報告されました。これらの調査結果は、聴覚ケアにおいて認知的健康に関する議論をさらに統合する必要性を示しています。

 


この記事は、2023年8月22日にPhonak Audiology Blogに掲載された記事を翻訳したものです。

参考文献

  1. Lin, F.R., Pike, J.R., Albert, M.S., et al. (2023). Hearing intervention versus health education control to reduce cognitive decline in older adults with hearing loss in the USA (ACHIEVE): a multicentre, randomised controlled trial. doi: 10.1016/S0140-6736(23)01406-X
  2. The ENHANCE Study: Evaluation of Hearing Aids and Cognitive Effects. The University of Melbourne. Retrieved from https://healthsciences.unimelb.edu.au/research-groups/audiology-and-speech-pathology-research/hearing-and-cognition-research-program/research/remediation-hearing-aids, accessed August 2, 2023.
  3. Sarant, J., et al. (2023, July 16-20). Cognitive Function in Older Adults with Hearing Loss: Outcomes for treated vs untreated groups at 3-year follow-up [Conference presentation]. AAIC 2023 Conference, Amsterdam, Netherlands.
  4. Vercammen, C., Ferguson, M., Kramer, S.E., Meis, M., Singh, G., Timmer, B., Gagné, J-P., Goy, H., Hickson, L., Holube, I., Launer, S., Lemke, U., Naylor, G., Picou, E., Scherpiet, S., Weinstein, B., & Pelosi, A. (2020). Well-Hearing is Well-Being: A Phonak Position Statement. Hearing Review, 27(3):18-22.

著者:Angela Pelosi(フォナック本社カスタマーサクセス&オーディオロジー シニアディレクター)

ソノヴァでの19年を超えるキャリアの中で、聴覚学、営業、マーケティング、そして最近では小児および高度重度難聴のチームなど、さまざまなチームを率いてきました。最新の職務であるカスタマーサクセスおよびグローバルオーディオシニアディレクターとして、オーディオロジー トレーニングの卓越性、ソートリーダーシップ、ビジネスサポート イニシアチブを通じて、聴覚専門家にさらなる価値を提供することに尽力しています。

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