聞こえのブログのロゴ

フォナック製補聴器の耐久性〜最新の調査より【オーディオロジーブログ】

過酷な環境下における補聴器の耐久性を比較し評価するため、フォナックと2つの競合製品に対してこれまでに無いような耐久性テストを実施しました。調査結果と、それが専門家にとってどのような意味を持つのかご紹介します。

大学院生時代、一人のオージオロジストが補聴器の機能を「毎日16時間、沼地を走るレーシングカーを懐中電灯の電池で走らせるようなものだ」というユニークな方法で説明しているのを聞いたことがあります。

もちろんこれはやや極端な比喩表現ではありますが、私もそう思います。補聴器はまるで高性能なコンピューターであり、そして身体中で最も居心地の悪い部分の一つに置かれます。補聴器は汗やほこり、髪の毛やスキンケア用品にまみれ、常に持ち運ばれ弄(まさぐ)られ、そのようなダメージを何年にも渡って受けながらも、ユーザーに最高の聞こえを提供するため必要な機能を提供します。

これは想像するよりもずっと困難な取り組みですが、フォナックはユーザーのあらゆる要求に応えることができる補聴器を送り出すべく、たゆまぬ努力を続けてきました。

補聴器はどれも同じ?

とはいえ、その補聴器が他の補聴器とは異なり、実際に過酷な環境を耐え凌ぐことができるのか、どのように知ることができるのでしょうか。最近の社内ベンチマーク調査では、補聴器の耐久性についてこれまでよりも詳細に学ぶことができるようになりました。

フォナック オーデオ L-R(はい、「ライフ」ではなく普通のオーデオ Lです!)と2つの競合製品に対し、一般的なIP68*の試験基準をはるかに超える長時間の人工汗液や高湿・高温暴露など、前例のない過酷な耐久性テストを実施しました。

その結果、フォナックの補聴器は他の製品よりも、非常に過酷な環境下における信頼性を維持することが判りました。

テストの手順

テストの手順は3週間の間に17回繰り返し実施されました。毎回補聴器は20時間かけて50℃の合成汗液、50℃の高湿度結露、そして湿度が100%から10%まで変化する60℃の高熱乾燥に曝されました。

20時間に及ぶ手順が終了すると、すべての補聴器にリスニングチェック、プッシュボタンの機能、充電機能、音響性能のテストを実施しました。そしてこれらの機器をクリーニングしたのち、レシーバーが障害の原因ではないことを確認するため、新品のレシーバーに交換しました。そのテストの結果を下図に示します。

テスト項目 競合A 競合B フォナック
リスニングテスト

(前後のマイクが正しく機能しているか)

10% 0% 100%
充電機能

(充電器にセットして正しく充電ができるか)

30% 83% 70%
ボタン機能

(プッシュボタンが機能するか)

50% 0% 100%
音響性能

(特性測定結果が正常範囲か)

0% 0% 70%
フォナックと他社2製品のテスト結果

このように、3製品のうちフォナックだけが17回にわたるテスト後の音響テストに合格した唯一のブランドでした。実際、11回目の時点で、競合Bの補聴器はすべて音が出なくなってしまいました。一方、オーデオ L-Rは3台だけ音響テストに不合格となったものの、他の7台は合格しました。

テスト結果が補聴器フィッティングにもたらす意味

このテストの結果は比較だけではなく、ユーザーの実環境における影響を知るためにも貴重なものです。湿気や極端な温度は、スポーツジムの多湿な環境から夏の高温で乾燥した空気まで、補聴器装用者が直面するありふれた問題です。このテストでは、これらの条件をシミュレーションし、各製品がどの程度耐えられるかを明確に把握し、そして最も重要なことは、大切な瞬間にどのブランドを信頼できるかを明確に示したことです。

補聴器販売店の皆さまにとって、この結果の意味はとても重要なものです。修理対応に費やす時間を定量化したことがありますか?ソノヴァの内部データによれば、専門家の応対時間のうち修理対応が最大30%に及ぶ可能性があります。その時間を他のユーザーの対応、新たなケアやカウンセリング、また自分たちに対する満足度をさらに向上すべく追加のサービスの提供に振り向けられるとしたらどう思いますか?

このような過酷なテストに耐えられる製品を提供することは、すなわちユーザーがあなたの対応に抱く信頼につながります。つまり、そういった補聴器を提供することは、ユーザーがどのような環境下でも社会とつながり続けることに貢献します。高い耐久性への飽くなき挑戦は、ただ丈夫な製品を世に出すだけでなく、その補聴器を毎日頼りにしている人々の生活を向上させることにつながります。

* IP68は、補聴器の防水防塵性能を示します。水深1mの淡水中に60分間沈めたあとや、IEC 60529準拠した試験装置で8時間粉塵に曝されたあとでも性能を維持することを意味します。


この記事は、Phonak Audiology Blogに掲載された記事を翻訳・加筆したものです。

著者:Chase Smith(フォナック本社 コマーシャルイネーブルメント シニアマネージャー)

Chaseはフォナックの製品とサービスをフィッターがよく理解し、使いやすいものにすることに日々を捧げています。オーディオロジストとして、彼らがいま直面している課題を知っています。フォナックUSのアカウントマネージャーを務めた経験を持つChaseは専門家が目標を達成し、彼らを成功に導くよう支援することが重要であることも理解しています。

カテゴリ別メニュー
聞こえに関する情報をお届けします