リモートマイクで授業が変わる?最適なマイク選びが重要な理由

最近の研究により、実際の教室環境を想定した聞こえの場面において、ロジャー タッチスクリーン マイクを使用した子どもたちは、従来の固定指向性リモートマイクを使用した場合と比べて、有意に高いことばの聞き取り成績を示すことが明らかになりました。
リモートマイクは、騒音下で子どもが話し声を聞き取りやすくするための重要なツールとして長く認識されてきました。これまでの研究でも、補聴器単独使用と比較して、ことばの理解、言語発達、コミュニケーション能力の向上に有益であることが示されています。しかし、すべてのリモートマイクが同じではありません。
今回、難聴児への補聴器サポートを目的に設立された支援団体Hearts for Hearingとソノヴァ社が共同で実施した研究では、難聴のある学齢期の子どもを対象に、ロジャー タッチスクリーン マイク(以後:TSM)と従来型の固定指向性リモートマイクの性能を比較しました¹。
その結果、実際の教育現場に近い環境において、マイク技術の違いが聴取成績にどのような影響を与えるかについて、有益な知見が得られました。
● この研究が重要な理由
教室内の騒音レベルは一日の中でも大きく変わり、SN比(信号対雑音比)は約-7dBから+15dBの範囲になることがあります。子どもたちは、一日の多くの時間を、背景雑音の中で話し声を聞き取らなければならない環境で過ごしています。
これまでの研究では、ロジャーテクノロジーが補聴器単独使用と比較して、騒音下でのことばの明瞭性、会話理解能力、そして子ども向けの話し言葉への接触機会を向上させることが示されています。
また、成人を対象とした研究では、ロジャーがFMシステムやその他の固定ゲイン型リモートマイクシステムより優れていることが報告されていましたが、小児を対象としたエビデンスは限られていました。本研究は、そのギャップを埋めることを目的として実施されました。
● 研究方法
研究には、中等度難聴を有する8歳から12歳までの子ども25名が参加しました。全員が、DSL v5の小児向けフィッティング目標に基づいて調整されたフォナック スカイ補聴器またはオーデオ補聴器を装用していました。
研究では、以下の3つの聴取条件が比較されました。
● 補聴器のみ
● 従来型の固定指向性リモートマイク
● デュアルアダプティブ(自動音量調節)モードで動作するTSM
評価は、実際の教室環境を想定した2つの聴取シナリオで行われました。
最初の実験では、教室前方から1人の話者の音声を提示し、同時に教室内の拡散騒音を再生しました。複数の音声提示レベルおよび聴取条件において、ことばの聞き取りを測定しました。
その結果、以下のことが明らかになりました。
- ロジャーおよび固定指向性リモートマイクのいずれも、補聴器単独使用より有意に高いことばの聞き取りを示した。
- ロジャーは固定指向性リモートマイクよりも有意に優れたことばの聞き取りを示した。
- ロジャーは一貫して固定指向性リモートマイクより好まれた。
これらの結果は、どちらのリモートマイクも補聴器単独使用より有益である一方、ロジャーはより厳しい聴取環境において追加的なメリットを提供することを示しています。
現代の教室では、一日中同じ話者だけが話しているわけではありません。子どもたちは、教室内のさまざまな位置にいる仲間と小グループで話し合う機会が頻繁にあります。
この環境を再現するため、2つ目の実験では、複数の話者をリスナーの周囲の異なる位置に配置し、教室内の拡散騒音を加えた状態で評価を行いました。
結果は非常に興味深いものでした。
固定指向性リモートマイクは、補聴器単独使用よりも低い成績を示しました。一方で、ロジャーによることばの聞き取りは、固定指向性リモートマイクおよび補聴器単独使用の両方を有意に上回りました。また、参加者の多くがロジャーを好むと回答しました。
研究者らは、固定指向性マイクでは正面以外の方向から聞こえる話し声へのアクセスが制限された可能性がある一方、ロジャーのマルチビームテクノロジー(多方向集音技術)がその制約を克服したと考察しています。
この結果は、使用環境に適していないマイクを使用した場合、かえって聴取に悪影響を及ぼす可能性があることを示しています。
● 子どもたちの好みは何だったか
研究では、客観的なことばの聞き取りだけでなく、子どもたち自身の主観的評価も調査しました。その結果、両方の聴取シナリオにおいて、ロジャーは音質、聞き取りやすさ、総合性能の面でより高い評価を得ました。一方、デザインや見た目について尋ねたところ、意見は分かれ、やや小型の固定指向性リモートマイクを好む傾向が見られました。
しかし、「どちらか1つだけ選ぶとしたら?」という質問に対しては、大多数の子どもたちがロジャーを選択しました。
参加者の3分の2以上が、最も好ましいマイクとしてロジャーを選択しました。
この結果は、この年齢層の子どもたちが、見た目だけでなく実際の聞こえの良さを評価して適切な機器を選択できることを示しています。
● 臨床現場への示唆
本研究は、小児への補聴器フィッティングにおいて重要なポイントを改めて示しています。それは、リモートマイクが補聴器単独使用を超える大きな聴取効果をもたらすということです。
また、マイクが環境に適応して動作することも重要であると示唆されています。従来型の固定指向性リモートマイクは特定の状況では効果的ですが、グループディスカッションや騒音レベルの高い環境など、より複雑で変化の大きい場面では性能が制限される可能性があります。
本研究では、TSMは、授業環境および小グループ活動の両方において、固定指向性リモートマイクより有意に優れたことばの聞き取りを示しました。研究者らは、その理由としてロジャーの自動音量調節機能や適応的な動作特性が寄与している可能性を指摘しています。
学齢期の子どもたちを支援する聴覚ケア専門家にとって、本研究は、マイク技術の選択が聴取成果に大きな影響を与えることを示すさらなるエビデンスとなります。特に、子どもたちが日常的に直面する複雑で予測困難な環境において、その重要性はより高まると言えるでしょう。
| ロジャー詳細については、ぜひロジャー製品ページをご覧ください。 |
※この記事は、Phonak Audiology Blogに掲載された記事を翻訳、一部編集したものです。
参考文献
- Neumann S, Calise S, Hill H, Standaert L, Schnittker JA, Roh M, Nelson J, Zhu X. Not all remote microphones are created equal: A comparison of remote microphone technologies for pediatric hearing aid users. Poster presented at PAT Conference 2025.

