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きこいろ × フォナック コラボ企画「知ってください片耳難聴」第3回

フォナックでは、片耳難聴を抱える当事者やご家族だけでなく、その周囲の方々にももっと知ってもらいたいという思いから、片耳難聴の当事者団体である「きこいろ」様とコラボを開始しています。

前回に引き続き、きこいろ代表の岡野由実さんにお話をうかがった内容をご紹介します。


片耳難聴を取り巻く環境についてお話をうかがいたいと思います。コロナ禍で変わったことは?

困ったこととしては、マスクを着けていることで口形が見えなくなるだけじゃなく、声がこもってしまうことです。

そうすると雑音の中で話すときにやはり聞き取りづらいし、特にパーテーションなどがあると、なおさら聞こえにくくなりました。例えば、買い物で会計の時に「ポイントカードありますか?」とか「レジ袋要りますか?」という風に聞かれる場面とか。とりあえず私は聞こえなくても予測で「ないです」って手を振っておきます(笑)。コミュニケーションをとる時の物理的な隔たりができてしまったのは聞き取りの妨げになると思います。

コロナ禍で「聞こえない」「つらい」「困った」と言う片耳難聴当事者は多くて、中には「自分が聞こえないからいけないんだ」とご自身を責めてしまう人もいます。

「自分が片方聞こえないために人に迷惑をかけている」という考えを持つ方もいて、「コロナになって世の中みんな聞こえにくいし、あなたのせいじゃなくてコロナのせいだよ」とお話しています。

逆に良くなったことは、オンライン会議です。

片耳難聴の場合、会議でどこの場所に座るかって大事な要素で、部屋の反響音はどうだろうかとか常に気にしていたんですが、オンライン会議ってすごく心地いいんですよ。座る場所を気にしなくていいし、聞こえる方の耳だけで聞きとればいいし、相手もちゃんとヘッドセット付けて話してくれたりとか。メリットを感じています

あと、片耳難聴者の中には飲み会の席に参加しなくてよくなったのがメリットと語る人もいます。飲み会は騒がしいし座席は選べないし、最も聞き取りにくい場面の一つではあるのですが、ただ、私は個人的に飲み会の席は好きです。聞こえにくさはありますが、それよりも人と交流することのほうが好きです。あまり聞こえにくくても「みんなどうせ聞こえないでしょ?」と思っているので(笑)。

フォナックとしてお手伝いできること(フォナックに期待すること)は?

ひとつは片耳難聴の啓発活動です。

こういった(コラボの)機会をいただいて大変ありがたく思っています。ぜひ片耳難聴を広めるきっかけになれば嬉しいです。

デバイスのことで言うと、まず価格を少しでも下げて欲しいっていうことですね(笑)。

片耳難聴の場合、健聴耳側に補聴(増幅)が必要ないから、補聴器じゃなくてロジャーフォーカスみたいな受信機能にしぼった、もっと安価なものがあればいいなと思います。

例えば、ロジャー フォーカスCROSが受信できれば、難聴側からの聞き取り時にはCROSを、ちょっと遠い人にしゃべってもらう場面ではロジャーを、みたいに、ロジャーとCROSの“いいとこどり”ができると、いいのになあと思います。

あと、耳せんのつけ心地がもっとよくなると良いですね。

耳かけ型ではなく、フルワイヤレスイヤホンのようなつけやすい形だと良いかもしれないですね。それでロジャーも受信できるような、そんな製品があったらいいなと思います。

CROS…CROS補聴援助システムと呼ばれ、聞き取りにくい耳の側にマイク(送信機)を装用し、ワイヤレスで聞こえの良い側に装用した受信機(補聴器)に送り、聞き取りにくい側からの音声を聴取するシステム。話し手の位置によって体勢を変える必要がなく、難聴がある側からの聞き取りを改善し、音声の認識をより明確にすることが期待できる。


3回に分けてご紹介してきた岡野さんへのインタビューは、今回が最後です。

フォナックでは今後も、「きこいろ」様と共に片耳難聴に関する情報発信を行ってまいります。お楽しみに!

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