クロス ルミティ:「両耳から」の聞こえがウェルビーイングにつながると最新の研究で明らかに。【オーディオロジーブログ】
BiCROS装用者は両耳で補聴器を使用する利点について認識を共有しました。一側性難聴を抱えており、尚且つまだ補聴器を使用されていない方とウェルビーイングについて話す事は重要なトピックであることが示唆されています。
オーディオロジストとして、私は技術的な解決策が大好きだと告白します。
しかしご存知の通り、テクノロジーを利用して聴こえを改善することは聴覚ケアのパズルの一部に過ぎません。これは、フォナックがWell-Hearing is Well-Beingを提唱している理由です。より良い聞えは認知的、社会・感情的、身体的ウェルビーイングにつながり、それらをサポートする可能性があると認識しています。
一側性難聴の場合、ウェルビーイングは依然として重要な問題でしょうか?
人口の約3%が一側性難聴を抱えていると言われています。この難聴は、良聴耳に難聴を伴うこともあれば、伴わないこともあります。
何年も前までは、片方「良い耳」があれば、ほとんどの状況に対応できると考えられていました。これは、話す対象に自分の「良い耳」の方に座ってもらうとお願いできるという期待があるからです。
最近の研究によると、年齢に関係なく、片方の耳が不自由になることはウェルビーイングに影響を与える可能性があることが明らかになっています。
一側性難聴がウェルビーイングに与える影響
技術的な解決策とそれがもたらす聴覚的な利点だけでなく、両耳から音を聞くことができるという社会・感情的、認知的、身体的な利点との間に関連性を理解することが重要です。
一側性難聴を持つ人々は、以下のような経験をする可能性があります:
● 聴覚疲労の増加1
・耳の非対称性が最も大きい一側性難聴を持つ子どもは、全体的な疲労が最も大きいと報告されています。
・一側性難聴を持つ成人は、健聴者に比べて重度の疲労を訴える可能性が5倍高いと言われています。
● 聴取努力の増加1
実際、聴取努力や疲労は、軽度および中等度難聴者と同様、場合によってはそれ以上に一側性難聴者に影響を及ぼすことが知られています2。聴取努力や疲労の増加は、選択的注意力の低下、仕事の生産性の低下、社交的な活動の減少などにもつながります3。
CROSシステムはどのように役立つか
フォナック クロス ルミティを使用した最近の研究では、BiCROS補聴器の装着における聴取努力と主観的評価に与える影響について調査しました4。その結果、聴取努力が減少され、主観的評価が向上されたことが示されました。
また、被験者にBiCROSフィッティングの感想を聞いてもらい、「片耳の補聴器ではなく、両耳の補聴器(CROS)を使用する利点は…… 」という文章を完成してもらいました。
私のお気に入りの回答をいくつか示します。
・社交の場での気苦労が減った
・負担が軽減されるように感じる
・全体的に安心感が増えたと感じる など
最後に、私たちがフォナック クロス ルミティで達成しようとしていることを要約した、ある参加者の回答を紹介したいと思います。それが、「世界が明るくなった」「人生にもう少し明るさを求めない人などいないでしょう?」という回答です。
この記事は、2023年8月15日にPhonak Audiology Blogに掲載された記事を翻訳したものです。
● フォナック クロス ルミティについて、詳しくは こちら よりご覧ください
参考文献
1. Snapp H.A., Ausili S.A. Hearing with One Ear: Consequences and Treatments for Profound Unilateral Hearing Loss. J Clin Med. 2020 Apr 3;9(4):1010. doi: 10.3390/jcm9041010. PMID: 32260087; PMCID: PMC7230949.
2. Alhanbali S., Dawes P., Lloyd S., et al. Self-reported listening-related effort and fatigue in hearing-impaired adults. Ear Hear, 2017). 38, e39–e48.
3. Picou, E. M., Davis, H., Lewis, D., & Tharpe, A. M. (2020). Contralateral Routing of Signal Systems Can Improve Speech Recognition and Comprehension in Dynamic Classrooms. J Speech Lang Hear Res, 63(7), 2468-2482. https://doi.org/10.1044/2020_JSLHR-19-00411
4. Folkeard P., Saleh H., Kuehnel V., Voss S., Qian J., Scollie S. (April 2023). The BiCROS experience: A patient oriented approach to investigate subjective outcomes using questionnaires, and a patient perspective of BiCROS preference. Poster displayed at AAA publication pending.
著者:
Anna Binggins(フォナック本社 シニア・オージオロジー・マネージャー)
2008年8月にスイスのフォナック本社に入社後、現在はフォナックのリリックを中心とした耳穴式補聴器チームのグローバル臨床開発およびトレーニングマネージャーを務めています。25年間聴覚学と補聴器の分野で働いており、両分野に情熱を注いでいます。