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補聴援助システム「ロジャー」のマルチトーカーネットワークで教室をよりインクルーシブにする3つの方法【オーディオロジーブログ】

教室はインクルーシブな場所であり、能力に関係なく、すべての子どもに学習の機会が与えられます。この記事では、ロジャーのテクノロジーがどのようにすべての生徒にサポーティブな学習環境を提供できるかをご紹介いたします。

現在、教育者が直面する大きな課題の 1 つは、すべての生徒の意見を聞き、理解できる教室を作ることです。そこで、ロジャー マルチトーカーネットワーク(以下、MTN)のようなテクノロジーが活躍します。

ロジャー MTNとは?

ロジャー MTNは、ネットワーク内で最大 35 個のワイヤレスマイクを接続できる革新的なテクノロジーです。これはロジャー独自の機能となります。

他社のテクノロジーは、「ネットワーク」でサポートされているマイクは2つだけで、さらにその2つのマイクは同時に常にオンまたはオフの状態に保たなければなりません。つまり、マイクがオンの時、話者の声はよく拾われる可能性がありますが、もう1つのマイクからは教室内の雑音も同様に拾われます。そのため、雑音で話者の声が聞き取りにくくなることがあります。

ロジャーの音声区間検出モード(VAD)では、話されているマイクのみが有効になります。他のマイクはすべてミュートされているため、教室の周囲の騒音がミュートされ、話者が何を言っているのかを聞き取りやすくなります。

ロジャー MTNがインクルーシブな学習環境を構築する3つの方法

1. 複数の教師の声をはっきりと聞き取れる
教室でのロジャー MTNの主な利点の 1 つは、2人の教師やティーチング アシスタントがいる場合に特に役に立ちます。このような状況では、教師とアシスタントの両方の声を聞く必要があります。ロジャー MTN 内では、教師とアシスタントの2人ともロジャー タッチスクリーン マイクを使うことができ、どちらの音声も他の音声に影を落とすことはありません。

2. 教室でのディスカッションに主体的に参加できる
難聴で補聴器を装着している生徒も、教室でクラスメイトの質問と答えを聞く必要があります。ロジャーには、MTN に接続できるロジャー パスアラウンド マイクが含まれています。教室の向こう側からクラスメイトが話すと、音声区間検出モードにより最も近いパスアラウンド マイクがアクティブになる同時に他のすべてのマイクがミュートになり、音声が補聴器に送信されます。これにより、話者からの距離に関係なく、教室にいる全員の声が聞こえるようになり、生徒の理解と学習が容易になります。

3. 動画や音声教材の音が直接補聴器に届く
さらに、ロジャー MTNは、教室内で視聴覚機器などのマルチメディアが使われている時にも有効です。ロジャー マルチメディア ハブは MTNに簡単に接続でき、難聴を持つ生徒の補聴器にオーディオ コンテンツの音声を直接かつ明瞭に送信できます。

より良い結果を得るためのテクノロジーオプション

生徒がロジャー MTNに自分の補聴器を接続するには、受信機が必要です。受信機は、フォナックの補聴器にインストールするか、他メーカーの補聴器や外部機器に受信機を取り付けることで接続されます。これは、生徒がはっきりと聞こえ、教室の活動に主体的に参加できることを意味します。少なくとも、難聴を持つ生徒が教師の声を今までよりも聞くことができるようになります。

前述したように、さらに一歩進めて、教室のあちこちにパスアラウンド マイクを数本設置し、グループディスカッションに参加できるようにすることも考えられます。

教室でロジャーのメリットを最大限に享受するには、マイクに加えて線音源スピーカーロジャー デジマスター」を導入することがおすすめです。教室でのスピーカーの使用は、次の理由から大きな変革をもたらします。

第一に、教室にいる全員が、マイクに向かって話す自分の声を聞き、自分の声が正確に拾われているかどうかを知ることができます。これは、すべての生徒の声が確実に届き、誰一人取り残されないようにするために重要です。

第二に、教師がスピーカーで注意を促すと、生徒全員に聞こえるので、クラス運営の大きな助けになります。これは教室での混乱が少なくなり、教師が常に生徒の注意を引こうとするのではなく、教えることに集中できることを意味します。

最後に、ロジャー デジマスターのようなスピーカーは、聴力に関わらず、すべての生徒たちの集中力、注意力1、学業成績2向上に役立ちます。子どもたちがよく聞こえるようになれば、理解し学習する可能性が高まり、学業成績の向上につながります。

ロジャーマイクロホンやスピーカーを導入するための費用は多額の初期投資のように思えるかもしれませんが、生徒一人ひとりにとっての長期的なメリットを考慮することが重要です。教育を受ける生徒の聞こえの環境が良好であれば、年齢に応じたマイルストーンを達成する可能性が高く、青年に成長する過程で社会に十分に参加する機会を得ることができます。

教育者、親、臨床医として、子どもたちに最良のスタートを提供することが私たちの責任です。遠距離対応(教育現場向け)の ロジャー マイクロホンの詳細については、こちらのウェブサイトをご覧ください。


この記事は、Phonak Audiology Blogに掲載された記事を翻訳したものです。

参考文献:
1. Langlan, L.A., Ravichandran, S., Caissie, R., Kreisman, B.M. (2009). The benefit of soundfield amplification in First Nations elementary school children in Nova Scotia, Canada. The Australian and New Zealand Journal of Audiology, 31(2), 55–71.
2. Cornwell, S. & Evans, C.J. (2001). The effects of soundfield amplification on attending behaviours. Journal of Speech-Language Pathology and Audiology, 25(3), 135–144.

著者:Tania Rodrigues(オーディオロジスト)

南アフリカのケープタウン大学でオーディオロジストの資格を取得。2013 年にフォナックに入社する前に、英国の公共部門と民間部門の両方で働き、臨床現場で多様な経験を積みました。

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