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すべての一側性難聴児を明るい未来へ!-前編-

 

専門家が一体となって、一側性難聴を持つこどものためのベストプラクティスに関する臨床医と両親にむけたガイダンスを提供しています。このガイダンスと聴覚テクノロジーは、ロジャー フォーカス llのように教育の場におけるギャップを埋めるのに役立ちます。

学齢期に達するまでに一側性難聴を発症するといわれる100人のうち3人*2について、研究は以下のことを示しています。

  • 聞こえに問題を抱えていない児童よりも留年する可能性が10倍高い**3
  • 何かしらの支援が必要になる可能性が5倍高い*4
  • 一側性難聴が児童の発話と言語の発達に悪影響を及ぼす可能性がある*5
  • 言葉のワーキングメモリと音韻処理のテストにおいて、聞こえに問題を抱えていない兄弟と比較して低い結果となる*6

幸いなことに、半世紀を経て一側性難聴を抱えるこどもたちの課題とニーズの理解が大きく進歩しました。この成果は、小児聴覚を専門とするオージオロジスト、研究者、臨床医のグループが作成した”2019 Consensus practice parameter: audiological assessment and management of unilateral hearing loss in children(コンセンサス診療ガイドライン:小児一側性難聴の聴覚的評価と管理)*1”にまとめられています。

この提言に基づいて、一側性難聴児を評価・管理する際に推奨される3つの事項を紹介します。

1.家族との効果的なコミュニケーションの確保

小児科におけるすべての領域の目標設定と同様、保護者との共同作業が聴覚ケアの標準的なスタイルとなります。専門家のガイドラインによると、保護者の協力によって、これらが最適な組み合わせとなります。

  • 音響増幅

  • 合理的配慮

  • 継続的なモニタリング

2.家族へのサポートとリソースの提供

保護者は教育と支援を必要としており、学校に通うこどものためにどのような配慮をすべきか知っています。専門家のガイドラインによると、オージオロジストはこのような家族へのサポートを提供する重要な役割を担っています。

まさに今、“Phonak Parent Guide for understanding best practice recommendations for children with UHL”(一側性難聴のこどもたちに対する最善の施策を理解するためのフォナックの保護者向けガイド)が生まれました。

Hands & Voices のエグゼクティブ・ディレクターである Janet DesGeorges 氏によって書かれたこのガイドは、一側性難聴を抱えるこどもの家族の人生をサポートし、専門家との間に効果的なコミュニケーションを生み出すことに役立ちます。またこの資料は、生徒のケアをする人や先生と制限なく共有することができます。

3.様々な聴覚技術の検討

一側性難聴のこどもたちに技術的介入を行わない場合、静かな場所(3m以上の距離)と騒音下(1.5m以上の距離)の両方で音声理解が著しく低下する**7という研究結果があることをご存知でしたか?一側性難聴児が学力を高めるために、音声理解を向上させるテクノロジーはとても重要です。

専門家のガイドラインによると、聴覚テクノロジーは複数の選択肢から検討する必要があります。一側性難聴のこどもたちにもそれぞれ個性があるため、解決策はもちろん一つではありません。補聴器の装用効果があるか否かに応じて、いくつかの選択肢があります。

 

後編では「補聴器装用効果が見込める一側性難聴への聴覚テクノロジー」についてご紹介します。

 

著者:Whitney Spagnola(フォナック米国 キャンペーンマネージャ)

日中はフォナックのマーケティング部門で働き、夜は家族や友人とおしゃべりをしています。ホイットニーは耳鳴りと軽度から中等度の難聴を抱えています。また彼女は軽度から中等度の難聴を抱える2人のこどもの母でもあります。

難聴になって良かったこと:こどもたちにさらに寄り添ってあげられるようになったこと

自分の補聴器の気に入っている点:色々な機器から思うままにストリーミングができること

好きな音:笑い声

 

この記事は2021年4月20日にPhonak Audiology Blogに掲載された記事を翻訳したものです。

すべての一側性難聴児を明るい未来へ!-後編-

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参考文献

  1. Bagatto, M., DesGeorges, J., King, A., Kitterick, P., Laurnagaray, D., Lewis, D., Roush, P., Sladen, D. P., & Tharpe, A. M. (2019). Consensus practice parameter: audiological assessment and management of unilateral hearing loss in children. International Journal of Audiology, retrieved from https://www.tandfonline.com, accessed March 3, 2021.
  2. Bess, F. H., Dodd-Murphy, J., & Parker, R. A. (1998). Children with minimal sensorineural hearing loss: prevalence, educational performance, and functional status. Ear and Hearing, 19(5), 339–354.
  3. Bess, F.H., Tharpe, A.M. (2008). Case history data on unilaterally hearing-impaired children. Ear and Hearing, 7, 14-19.
  4. Oyler, R.F., Oyler, A.L, & Matkin, N.D (1988). Unilateral hearing loss: demographics and educational impact. Language, Speech, and Hearing Services in Schools, 19, 201-210.
  5. Bagatto, M., DesGeorges, J., King, A., Kitterick, P., Laumagarary, D., Lewis, S., … Tharpe, A.M. (2018) Quick Practice Guideline – Tools and considerations for assessing and managing unilateral hearing loss in children. Retrieved from www.phonakpro.com/evidence, accessed March 3, 2021.
  6. Ead, B., Hale, S., DeAlwis, D., & Lieu, J.E.C. (2013) Pilot study of cognition in children with unilateral hearing loss. International Journal of Pediatric Otorhinolaryngology, 77 (1), 1856 – 1860.
  7. Nelson, J. & Dunn, A., (2021). Roger Focus II in children with unilateral hearing loss. Phonak Field Study News, accessed May 2021.
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