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聴覚の健康と日常生活の関連性についての最新研究に興味がありますか?

新年あけましておめでとうございます。
フォナック補聴器では、皆さまのより良い聞こえと健康でしあわせな毎日を願って、今年も聞こえに関するトピックを続々とお届けしてまいります。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

本記事では、オーディオロジー ブログより、IJA(International Journal of Audiology)の特別編「聴覚とウェルビーイングに関する特集号」に掲載されている内容の一部をご紹介します。

私たちにとって、難聴と人の健康状態の間に関連性があることはもはや常識となりつつあります。もちろん、まだわかっていない事象もあるのは事実ですが、難聴が認知的、社会・感情的、そして身体的ウェルビーイングといった健康の様々な側面に影響を及ぼす可能性があることはご存じかと思います。

 

フォナックの「良い聞こえから始まる健康でしあわせな毎日(Well(ウェル) – Hearing(ヒアリング)  is(イズ)  Well(ウェル) – Being(ビーイング))」を掲げた数々の取り組みは、聴覚専門家が難聴者と接する際に家族を中心としたケア(FCC)やその他の包括的聴覚ケアの手段を実践の場にもたらす一助となっています。私は一つの病気や疾患だけに目を向けるのではなく、人の心身全体を診ることが、あらゆる病気や疾患を治療する最善の方法だとずっと信じてきました。

 

聴覚と人の健康の関連性は聴覚に関する研究の中で最も注目されているトピックの一つであり、日々新しい研究結果が発表されています。最新情報をもれなく把握することはとても大変なことです。もしかしたら「質が良く関連性の高い記事は一体どこにあるんだろう?」とお悩みになるかもしれませんが、もう悩む必要はありません!

 

IJAは、難聴と健康をテーマにした特集編を発表しました。この特集編に掲載された記事はどれも、難聴とウェルビーイングの関係の様々な側面を取り上げています。そして、この2つの関連性を総合的に理解するだけではなく、難聴者にとってより良いきこえ、より良い健康、より良い生活のため私たち聴覚専門家が何をすべきかを知ることができます。

 

それらのトピックを少しだけ垣間見てみましょう

  • 専門家がどのようにして難聴者の心の奥にある問題に気付き、本人と家族をサポートするかを知るためのケーススタディ*1
  • コミュニケーションパートナーの参加や精神的サポートの提供など、難聴者の心理社会的影響に対するアプローチ方法とそれらの有用性*2
  • 聴力測定の結果だけでなく、フレイルやメンタルヘルス、全般的な健康状態などの健康要因が聴覚に関するQOLに与える影響*3
  • FCC(Family-Centered Care:家族中心のケア)を実践するためのガイダンス*4
  • 聴覚専門家が他の医療従事者と協力して難聴に取り組むことの重要性および、高齢者の医療提供に与える影響*5
  • 職場環境におけるウェルビーイングと難聴の関連性、そして「個人的側面」、「職場環境」、「職場組織」が社会的・感情的ウェルビーイングや身体的ウェルビーイングに相互に与える影響についての考察*6
  • 難聴、疲労、活動レベル、ウェルビーイングとの関連性を調査した60以上の論文のシステマティック(統計的)レビュー*7
  • 社会的孤立や孤独と難聴との関連性についてのスコーピングレビュー*8

 

近年、福祉と健康における聴覚の役割が脚光を浴びていることに異論は無いはずです。こうしている間にも多くの研究結果が明らかになってきており、このテーマについて鋭敏かつ確かな情報に基づく議論をお望みの方は、ぜひIJAの最新号をご覧になってください。

今回取りあげたIJAの特集編はこちらからご覧いただけます。

 

著者:Lisa Standaert

Lisaは、2015年9月からフォナック オーディオロジー リサーチセンター(PARC)に所属しています。以前はフォナック オーディオロジー テクニカルサポートで補聴器のフィッティングと調整、人工内耳のプログラミングとカウンセリング、術中モニタリングなどを10年間担当しました。ウェイン州立大学で聴覚学の修士号、ATスティル大学で博士号を取得しました。

 

この記事は、2021年8月3日にPhonak Audiology Blogに掲載された記事を翻訳したものです。

 

参考文献

  1. Clark, John, English, Kristina & Montano, Joseph. (2020). Heightening our vigilance towards patient well-being. International Journal of Audiology; 60. 1-8.
  2. Bennett, R.J,, Barr. C., Cortis, A., Eikelboom, R.H., Ferguson, M., Gerace, D., Heffernan, E., Hickson, L., van Leeuwen, L., Montano, J., Preminger, J.E., Pronk, M., Saunders, G.H., Singh, G., Timmer, B.H.B., Weinstein, B. & Bellekom, S. (2021). Audiological approaches to address the psychosocial needs of adults with hearing loss: perceived benefit and likelihood of use. International Journal of Audiology; 60(sup2):12-19.
  3. Nuesse T, Schlueter A, Lemke U. & Holube, I. (2021). Self-reported hearing handicap in adults aged 55 to 81 years is modulated by hearing abilities, frailty, mental health, and willingness to use hearing aids. International Journal of Audiology; 60(sup2): 71-79.
  4. Ekberg, K., Timmer, B., Schuetz, S. & Hickson, L. (2021). Use of the Behaviour Change Wheel to design an intervention to improve the implementation of family-centred care in adult audiology services. International Journal of Audiology;60 (sup2):20-29.
  5. Wallhagen, M.I., Strawbridge, W.J. & Tremblay, K. (2021) Leveraging the age friendly healthcare system initiative to achieve comprehensive, hearing healthcare across the spectrum of healthcare settings: an interprofessional perspective, International Journal of Audiology; 60:sup2, 80-85.
  6. Granberg, S. & Gustafsson, J. (2021). Key findings about hearing loss in the working-life: a scoping review from a well-being perspective, International Journal of Audiology; 60:sup2, 60-70.
  7. Holman, J.A., Hornsby, B.W.Y., Bess, F.H. & Naylor, G. (2021) Can listening-related fatigue influence well-being? Examining associations between hearing loss, fatigue, activity levels and well-being, International Journal of Audiology; 60:sup2, 47-59.
  8. Bott, A. & Saunders, G. (2021) A scoping review of studies investigating hearing loss, social isolation and/or loneliness in adults, International Journal of Audiology; 60:sup2, 30-46.

 

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