聞こえのブログのロゴ

「ことばの理解」に応えるためのアイデア【専門家向け】

補聴器装用者の方々からの普遍的なニーズの一つとして挙げられる、「ことばの理解」。一人ひとりがことばの理解度を高め、より自信を持って社会とかかわるために、専門家はどのようなサポートを行えば良いのでしょうか。今回は 3 つのアイデアをご紹介します。

1.ウェルビーイング視点のアプローチ

難聴の方にとって、よく聞こえることにより聴取努力が低減すると、認知資源が解放され、円滑にコミュニケーションが取れるようになります。つまり、よく聞こえることにより、さまざまな社会的な交流シーンにおけるプラスの影響や、全体的なウェルビーイングへのメリットなどが期待できます。

  • 難聴が原因で、聴覚情報の理解や会話の継続、感情の読み取りに支障が生じると、社会・感情的ウェルビーイングに影響が及ぶと考えられています
  • 補聴器を使用するとグループ活動に積極的になり、社会との関係性に良い影響が及ぶことが報告されています2
  • 聴取努力が軽減すると、疲労感が低減することが考えられます3

よい聞こえは、一人ひとりの人生にプラスの影響をもたらします。良い聞こえがウェルビーイングに与える影響を知ることで、聞こえの大切さを再確認し、より自信をもって行動できる可能性があります。聞こえとウェルビーイングについて、詳しくはこちらをご覧ください。

また、難聴はご本人だけではなくご家族やご友人などのウェルビーイングにも影響を及ぼす可能性があります。フォナックでは、ご家族や周囲の方々に、ご本人と一緒に補聴器の検討を促す「ファミリーセンターケア」というコンセプトを提唱しています。ファミリーセンターケアについては、こちらの eラーニングで学習いただけます。※クリックすると別ウィンドウが開きます。アカウントをご登録いただくと受講いただけます(登録・受講無料)。

2.AI を活用

AI 補聴器について聴覚専門家に質問したお客様は、これまで何人いらっしゃるでしょうか。現状では限定された数にとどまるのではないのでしょうか。ほとんどの方は、ライフスタイル、つまり自身が身を置く特定の社会的状況に適した補聴器を求めています。お客様が補聴器を必要とする時、特にことばの理解が困難な場合は、頼もしく信頼性の高い補聴器を求めることが多々あります。

補聴器の革新が進むにつれ、より高度な AI テクノロジーを利用できるようになります。聴覚医療業界は他業界に比べて AI の導入が比較的遅かったのですが、フォナックは 24 年にわたり自社の補聴器技術に機械学習を活用してきました 。AI の最新かつ最も先進的なアプリケーションのひとつが、フォナックの補聴器に標準搭載されているオペレーティングシステム「オートセンス OS」です。これは、何千もの実世界の録音を使って訓練された機械学習モデルを使用して動作します。

3.画期的な聞こえソリューションの提案

最新型の聞こえのソリューションを使うことで、より自信を持って積極的に社会と関わることができるようになる可能性があります。

ソリューション①:ルミティ補聴器

研究によると、騒音下の一対一の会話およびグループでの会話の理解が、補聴器ユーザーにとって「最も」重要な聞き取り状況の上位にランクインされています4。「騒がしい環境でのことばの理解」に真摯に向き合って開発された補聴器シリーズ「ルミティ」は、一対一のみならず騒音下における会話の聞き取りに苦労している方々にぜひおすすめです。

  • ルミティ補聴器では、聴覚専門家の 86% が初回フィッティングでの聞こえが秀逸になると考え、 聴覚専門家の 91% が 音質が優良であると確信しています5
  • 装用者の 83% がオーデオ ルミティを友人や家族に推奨すると答えています6
  • オーデオ ルミティ補聴器装用者の 73% が、社会と関わる状況や騒音下で大きく自信が持てると答えています6

ソリューション②:ロジャー

ロジャーにより、騒音下や遠距離での聞こえがサポートされます。ロジャーと補聴器双方の信号が環境中の雑音レベルに応じて調整されるため、補聴器装用者は聞こえにより一層の自信を持つことができます。

  • ロジャーを併用すると、補聴器単独で聞く時に比べ、聞こえの認知的、社会・感情的、身体的な効果が大きく向上します7
  • 補聴器装用者がロジャーを使用すると、騒音下や遠距離でも健聴者の 10 倍ほど良く理解できます8
  • 大きな騒音下のグループ会話では、補聴器単独で聞く時に比べ、ことばの理解が 61% 向上します9

 


【参考資料】

出典/参考資料:
  1. Timmer, B. H. B., Bennett, R. J., Montano, J., Hickson, L., Weinstein, B., Wild, J., Ferguson, M., Holman, J. A., LeBeau, V., & Dyre, L. (in press). Social-emotional well-being and adult hearing loss: Clinical recommendations. International Journal of Audiology.
  2. Abrams, H.B., & Kihm, J. (2015). An Introduction to MarkeTrak IX: A New Baseline for the Hearing Aid Market. Hearing Review, 22(6), 16. Retrieved from https://www.hearingreview.com/2015/05/introduction-marketrak-ix-new-baseline-hearing-aid-market/ on March 25, 2021
  3. Hornsby, B.W.Y. (2013). The effects of hearing aid use on listening effort and mental fatigue associated with sustained speech processing demands. Ear and Hearing, 34(5), 523–534. https://doi.org/10.1097/AUD.0b013e31828003d8
  4. Appleton-Huber, J. (2022). Better listening in noise looms large for satisfying hearing aid users–especially older clients. Hearing Review. 29(6):10-16.
  5. Sonova proprietary research. (2022). Project ID #4639. Please contact marketinsight@phonak.com if you are interested in further information.​
  6. Sonova proprietary research. (2023). Project ID #4640. Please contact marketinsight@phonak.com if you are interested in further information.
  7. Ishida, I., Pichora-Fuller, M., Edgett, L., Voss, S. C., Paccioretti, D., Trusler, A., Liu, Y., Cui, M., & Qian, J. (2022, August 10-14). The effect of Remote Microphone Technology on the group listening experience of older adults. IHCON 2022, Lake Tahoe, United States.
  8. Thibodeau, L. (2014). Comparison of speech recognition with adaptive digital and FM wireless technology by listeners who use hearing aids. American Journal of Audiology, 23(2), 201-210.
  9. Thibodeau L. M. (2020). Benefits in Speech Recognition in Noise with Remote Wireless Microphones in Group Settings. Journal of the American Academy of Audiology, 31(6), 404–411.

 

カテゴリ別メニュー
聞こえに関する情報をお届けします