聞こえのブログのロゴ

Bluetooth®のブルースが聞こえる?【連載第1回】

今回から、フォナックのグローバル本社にてAudiology(オージオロジー:聴覚学)チームが出している「Audiology Blog」の日本語訳を公開する取り組みをはじめることにしました。

まず第1弾の今回は、自称聴覚オタクのPeter Mulas (ピーター・ムラス)が補聴器のBluetooth®機能を最大限に活用するための、いくつかの基礎的な情報を紹介します。
以下、翻訳記事になります。

元記事:Bluetooth causing you the blues?

もしかして、最近ちょっとBluetooth®に振り回されていたりしますか?

もしそうなら、自称聴覚オタクのPeter Mulas が、それらを解決する手助けをしてくれるそうです。

Bluetooth®が補聴器に搭載されたことで、補聴器の設計と機能は画期的に進化しました。そう、補聴器装用者は中継器を用いることなく音声をストリーミングしたり、リモートコントロールが可能になったり。

 

大きな可能性を秘めたこのBluetooth®なのですが、メーカーの私たちには、クリニックから「補聴器フィッティングの手順を、土台から覆されてしまった」という声が届いています。これは、ユーザーの補聴器をスマートフォンやタブレット、その他のアクセサリに正常に接続するための、+αの手順が必要になったためです。

 

この記事では、「Bluetooth®とは何ぞや?それはどのように働くの?」といったことがスムーズに理解できなかった聴覚専門家とのトレーニングにおいて、よくあるBluetooth®関連の質問を取り上げてみたいと思います。

 

「私は補聴器の聴覚専門家であって、ITの聴覚専門家じゃない!なぜ、Bluetooth®の基礎を勉強しなきゃいけないんだ。めんどくさい!」

わかりますよ。でも、私を信じて。そう思っているのはあなた一人じゃない。

 

しかしながら、好き嫌いにかかわらずスマートデバイス(スマートフォンやタブレット型端末などの総称のこと)が当たり前の世の中では、もうユーザーの補聴器がスマートデバイスとBluetooth®で繋がることは補聴器の他の機能と同じくらい重要となっており、聴覚専門家にとってBluetooth®の理解を深めることは2021年の現在避けることができない部分です。

 

Bluetooth®って何ですか?

それでは、基本から始めましょう。

簡単に言えば、Bluetooth®は、2つ以上の機器を接続するための無線技術です。言ってみれば、有線接続における「USB」の無線版です。数多くのアプリケーションが、機器同士を無線接続するための標準仕様として使われています。

 

Bluetooth®機器は2.4 GHz、つまり2400000000Hz(そう、すごいHz数ですね)というとても高い周波数を使用して接続します。これによって、ワイヤレスでBluetooth信号が送られます。自然界では非常に短い範囲にしか到達せず[1]、壁や障害物によって遮られてしまい、水分を多く含む肉体(人体など[2])にいとも簡単に吸収されてしまいます。

 

Bluetooth®だけが2.4 GHzの無線スペクトルを利用するわけではありません。Wi-Fiもそうですね。それだけでなく、家庭用コードレス電話・ワイヤレスマウスやキーボードなどのコンピュータアクセサリーにも用いられています。フォナックでさえ、ロジャー・AirStream・両耳間音声通信技術といった、2.4GHzを使用する多くの無線信号を持っています。様々な機器がこの無線スペクトルを使用できるため、Bluetooth®は物理的な障害物の影響を受けやすいだけでなく、同じ周波数範囲を利用する他の機器からの干渉を受ける可能性が高いです。

 

したがって、使用する距離と他の機器の干渉、この2つはBluetooth®対応機器のトラブルシューティングを行う際に留意する重要な鍵となります。Bluetooth®機器は、信号品質が悪い場合は送信側の機器の出力を上げて受信側の機器の感度を高め[3]、干渉を起こしにくいチャンネルに変更を試みることで問題を解消しようとしますが、まずやるべきは使用する機器間の距離を近づけ他の機器の干渉を避ける事。それ以外にありません。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - -

連載第1回はここまでになります。ぜひ第2回を楽しみにしてください!

Bluetooth®は Bluetooth SIG,Inc の商標です。

◆関連記事◆
Bluetooth®のブルースが聞こえる?【連載第2回】
Bluetooth®のブルースが聞こえる?【連載第3回】
皆さまからの[よくあるご質問(FAQ)]携帯電話とのBluetooth接続について
いい音で、つながる。 ワイヤレス イヤフォンのように楽しむ スタイリッシュな補聴器。「 フォナック バート マーベル」
「ナイーダ パラダイス」の特長②拡張された接続性

【参照】
[1] Shorey, R. & Miller, B.A.. (2000). The Bluetooth technology: Merits and limitations. 80 – 84. 10.1109/ICPWC.2000.905777.
[2] Werner, D. H., & Jiang, Z. H. (2016). Electromagnetics of body-area networks: antennas, propagation, and RF Systems. Wiley-IEEE Press.
https://doi.org/10.1002/9781119082910
[3] Marcel, J. (2019, Oct 17). 3 key factors that determine the range of Bluetooth [Blog]. Retrieved from https://www.bluetooth.com/blog/3-key-factors-that-determinethe-range-of-bluetooth/, accessed March 15, 2021

カテゴリ別メニュー
聞こえに関する情報をお届けします